夢 [おはなし]
それはたしかに、くーちゃんの声だった。
急いでその部屋に行ってみると、逆光の中に1匹のねこ。
大きさも(小ささというべきか)姿もくーちゃん。
「くーちゃん」
脅かさないようになるべく穏やかな声で呼んでみた。
ねこは、特に怖がる風もなく、掃除を始めた。
(うちではねこが体を舐めるのを”掃除”とよぶ)
「くーちゃん、くーちゃん、くーちゃん!」
私は気づいてほしくて、段々と声を荒らげていった。
ほら、くーちゃんはやっぱりいたんじゃない!
誰に言うともなく、文句が出る。
そのねこは自分が呼ばれているのに気づいて、こちらにゆっくりと歩いてきた。
けれどやがてねこに光があたると・・・顔に縞模様がみえた。
キジねこだった。
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