クロがうちに来た頃 [ネコの日々]
くーちゃんの命日に
*****
それは、庭に来た小さなクロネコが始まりだった。
ほんとに小さかったから、秋生まれの、生まれて1~2ヶ月位のネコだと思った。
(後日歯を見た獣医さんによると、春生まれで少なくとも6ヶ月にはなっていた)
そのクロネコは、庭の塀と草花の間で少し隠れるようにしていた。
「子猫が来てる!」嬉しくなってそっと近寄ると、はああっ!と怒る。
急いで家からキャットフードのドライを数粒持ってきて、クロネコのそばに放おった。
子ネコはそれを食べてからまた、はああっ!と怒った。
お腹は空いているけど、怖いから近寄っちゃだめ!と言ってた。
「あんたはだあれ?どこから来たの?」
何を聞いても、はああっ!
*****
その頃、うちにはゴンとシロの兄妹がいた。
ゴンはお兄ちゃんらしいおおらかな性格。
シロはちょっとわがままな妹。
クロネコは、優しい性格のゴンに受け入れてもらえそうだと思ったのだろう。
それからうちによく寄るようになった。
あとに厳しいお姉ちゃんとなるシロもいたんだけど・・。
リードを付けて庭にいるゴンにちょんとちょっかい出して、ぱあっと逃げていく、ゴンも、仕方ないなあと言うふうに、クロネコに付き合っていた。
でも相変わらず、私には懐いてくれなかった。
ご飯はもらうけど触っちゃだめ!とばかりに、後ろを向いた隙にちょっと尻尾の先を触ろうものなら、はああっ!
でも庭の隅にいたクロネコは、ゴンのお陰で、段々と庭のデッキの上まで来れるようになった。
自分のすみかを、デッキの横の温室のなかの空の植木鉢と決めて、よくそこで眠っていた。
雨の日は、デッキに傘を広げてその内側に箱をおいてやると、そこで過ごしていた。
温室の中にご飯を置いて、外のでかい植木鉢に猫砂をいれると、ちゃんとそれも理解してくれた。
だけど、これから寒くなる時期を、痩せたちびネコが外の寒さに耐えられるとは思えなかった。
*****
そろそろ雪が降ってもおかしくない頃になって、クロネコが留守の間に温室にビニールを掛けた。
中にタオルを敷いた発布スチロールの箱を入れた。
クロネコはためらうことなく、その日からその中で眠った。
雪が降ってきた。
今度は、猫用のあたたかそうなお家みたいなのを買って、その中に靴下で包んだカイロをいれて温室においた。
翌朝、そっとのぞくと、そのお家の中でお腹が上下している黒いかたまりが見えて、ほっとした。
怒るくせに、なんとも素直なネコだった。
そのころ近所には一緒に捨てられたと思われる兄弟の黒猫が何匹もいて、その中で一番力が弱かったと見られるうちのクロネコは、度々、ご飯を取られていたけど、他の兄弟が食べている間は、隅に身を潜めて、兄弟が温室から出ていくと、戻ってきて残りを食べていた。
一生懸命生きているけど、やっぱり、外では暮らせそうにない頼りなさげな存在に見えた。
*****
少しずつ 少しずつ、身近なネコになってきたある日、今でもよく覚えているおひさまのポカポカした日だった。
デッキでしゃがんでいる私の膝に、クロネコはふと決心したように、前足を乗せてきた。
「この人に身を任せてみよう」そう決めた瞬間に思えた。
クロネコと気持ちが通じた瞬間だった。
クロネコのお尻をおして膝のうえに上げても、クロネコはもう怒りはしなかった。
そっと頭を撫でると、とろけてしまった。
きっと今まで撫でられたことなかったんだね。
膝の上のクロネコと私の間に、永遠に忘れられないときが流れた。
クロネコは私の中で”クロ”になった。
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それは、庭に来た小さなクロネコが始まりだった。
ほんとに小さかったから、秋生まれの、生まれて1~2ヶ月位のネコだと思った。
(後日歯を見た獣医さんによると、春生まれで少なくとも6ヶ月にはなっていた)
そのクロネコは、庭の塀と草花の間で少し隠れるようにしていた。
「子猫が来てる!」嬉しくなってそっと近寄ると、はああっ!と怒る。
急いで家からキャットフードのドライを数粒持ってきて、クロネコのそばに放おった。
子ネコはそれを食べてからまた、はああっ!と怒った。
お腹は空いているけど、怖いから近寄っちゃだめ!と言ってた。
「あんたはだあれ?どこから来たの?」
何を聞いても、はああっ!
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その頃、うちにはゴンとシロの兄妹がいた。
ゴンはお兄ちゃんらしいおおらかな性格。
シロはちょっとわがままな妹。
クロネコは、優しい性格のゴンに受け入れてもらえそうだと思ったのだろう。
それからうちによく寄るようになった。
あとに厳しいお姉ちゃんとなるシロもいたんだけど・・。
リードを付けて庭にいるゴンにちょんとちょっかい出して、ぱあっと逃げていく、ゴンも、仕方ないなあと言うふうに、クロネコに付き合っていた。
でも相変わらず、私には懐いてくれなかった。
ご飯はもらうけど触っちゃだめ!とばかりに、後ろを向いた隙にちょっと尻尾の先を触ろうものなら、はああっ!
でも庭の隅にいたクロネコは、ゴンのお陰で、段々と庭のデッキの上まで来れるようになった。
自分のすみかを、デッキの横の温室のなかの空の植木鉢と決めて、よくそこで眠っていた。
雨の日は、デッキに傘を広げてその内側に箱をおいてやると、そこで過ごしていた。
温室の中にご飯を置いて、外のでかい植木鉢に猫砂をいれると、ちゃんとそれも理解してくれた。
だけど、これから寒くなる時期を、痩せたちびネコが外の寒さに耐えられるとは思えなかった。
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そろそろ雪が降ってもおかしくない頃になって、クロネコが留守の間に温室にビニールを掛けた。
中にタオルを敷いた発布スチロールの箱を入れた。
クロネコはためらうことなく、その日からその中で眠った。
雪が降ってきた。
今度は、猫用のあたたかそうなお家みたいなのを買って、その中に靴下で包んだカイロをいれて温室においた。
翌朝、そっとのぞくと、そのお家の中でお腹が上下している黒いかたまりが見えて、ほっとした。
怒るくせに、なんとも素直なネコだった。
そのころ近所には一緒に捨てられたと思われる兄弟の黒猫が何匹もいて、その中で一番力が弱かったと見られるうちのクロネコは、度々、ご飯を取られていたけど、他の兄弟が食べている間は、隅に身を潜めて、兄弟が温室から出ていくと、戻ってきて残りを食べていた。
一生懸命生きているけど、やっぱり、外では暮らせそうにない頼りなさげな存在に見えた。
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少しずつ 少しずつ、身近なネコになってきたある日、今でもよく覚えているおひさまのポカポカした日だった。
デッキでしゃがんでいる私の膝に、クロネコはふと決心したように、前足を乗せてきた。
「この人に身を任せてみよう」そう決めた瞬間に思えた。
クロネコと気持ちが通じた瞬間だった。
クロネコのお尻をおして膝のうえに上げても、クロネコはもう怒りはしなかった。
そっと頭を撫でると、とろけてしまった。
きっと今まで撫でられたことなかったんだね。
膝の上のクロネコと私の間に、永遠に忘れられないときが流れた。
クロネコは私の中で”クロ”になった。
tabbycatさん、ありがとう!
クロがいなくなって1年以上経ちましたが、これまでは、どこかにいるんじゃないか、戻ってきてくれないかなという諦めきれない気持ちがどうしても拭えなかったんですが、この頃はふと、猫のいた楽しい生活ってひょっとして夢だったんじゃないかしら?と思ったりもします。
by neko (2023-09-23 17:53)