くーちゃんとミノムシ [おはなし]
そのミノムシは、もう雪も降りそうな凍える日、ミノを被った小さな体で一生懸命落ち着く場所を探していました。
「ミノムシさん、こっちに来たら?お家の中は暖かだよ」
クロネコのくーちゃんは窓辺に座って、先程からそのミノムシを見ていたのでした。
でも、ミノムシが探していたのは暖かなお家でなく、春までぶら下がっていられる木。
そして、やっと見つけたのが、小さなブルーベリーの木でした。
ここまでくればもう大丈夫。
それは、くーちゃんの足ではほんの数歩の距離でしたが、小さなミノムシにとっては大移動でした。
長い時間かけてようやく見つけたブルーベリーの木に登り、ミノムシはそこで一冬を過ごすことにしました。
「ふうん、ミノムシさんってば、暖かいお家より木のほうがいいんだね。でも見つかってよかった。」
やがて、本格的に冬が来ました。
雪がつもり、北風が吹き付け、葉を落としたブルーベリーの木は白くお化粧をしましたが、ミノムシはそこにじっとぶら下がっていました。
ミノムシがピクリとも動かないので、ちょっとだけくーちゃんは心配でした。
春になりました。
ようやく雪も溶けはじめ、吾妻山の種まきウサギさんも顔を出し、日差しも少し暖かくなりました。
くーちゃんは、日がさす窓際で、まだぶら下がったままのミノムシを眺めながらお昼寝するこの頃でした。
やがて、ぽかぽかと暖かな日が続くと、チューリップやクロッカスも咲き始め、ブルーベリーの木も若葉を出し始めました。
ミノムシは、やっぱり動かないままでした。
「ミノムシさん、元気なのかなあ?」
でも心配はいりませんでした。
翌日、それはおひさまが前の日よりいっそう力強くなり、ブルーベリーの木にうっすら紫色した蕾がつきはじめた午後でした。
お昼寝から目覚めたくーちゃんが窓辺でぼんやりしていると、何かがすーっと目の前を横切ったのでした。
それはなにか言いたげで、飛んでいった先からすぐにもう一度、こちらへ戻ってきました。
今度はちゃんと見えました。
「あ!あのミノムシさんなの?」
春になって、ミノムシは無事、ちょうちょになったのでした。
ちょうちょになったミノムシは、それから数度、くーちゃんの目の前で弧をかいて飛び、それから遠くへ飛び立ちました。
それはまるで、冬の間自分を見守っていてくれたくーちゃんに、お別れの挨拶をするかのようでした。
「さようなら、ちょうちょになったミノムシさん、元気でね!」
くーちゃんは、窓辺でしばらくちょうちょの飛んだ先を眺めていました。
「ミノムシさん、こっちに来たら?お家の中は暖かだよ」
クロネコのくーちゃんは窓辺に座って、先程からそのミノムシを見ていたのでした。
でも、ミノムシが探していたのは暖かなお家でなく、春までぶら下がっていられる木。
そして、やっと見つけたのが、小さなブルーベリーの木でした。
ここまでくればもう大丈夫。
それは、くーちゃんの足ではほんの数歩の距離でしたが、小さなミノムシにとっては大移動でした。
長い時間かけてようやく見つけたブルーベリーの木に登り、ミノムシはそこで一冬を過ごすことにしました。
「ふうん、ミノムシさんってば、暖かいお家より木のほうがいいんだね。でも見つかってよかった。」
やがて、本格的に冬が来ました。
雪がつもり、北風が吹き付け、葉を落としたブルーベリーの木は白くお化粧をしましたが、ミノムシはそこにじっとぶら下がっていました。
ミノムシがピクリとも動かないので、ちょっとだけくーちゃんは心配でした。
春になりました。
ようやく雪も溶けはじめ、吾妻山の種まきウサギさんも顔を出し、日差しも少し暖かくなりました。
くーちゃんは、日がさす窓際で、まだぶら下がったままのミノムシを眺めながらお昼寝するこの頃でした。
やがて、ぽかぽかと暖かな日が続くと、チューリップやクロッカスも咲き始め、ブルーベリーの木も若葉を出し始めました。
ミノムシは、やっぱり動かないままでした。
「ミノムシさん、元気なのかなあ?」
でも心配はいりませんでした。
翌日、それはおひさまが前の日よりいっそう力強くなり、ブルーベリーの木にうっすら紫色した蕾がつきはじめた午後でした。
お昼寝から目覚めたくーちゃんが窓辺でぼんやりしていると、何かがすーっと目の前を横切ったのでした。
それはなにか言いたげで、飛んでいった先からすぐにもう一度、こちらへ戻ってきました。
今度はちゃんと見えました。
「あ!あのミノムシさんなの?」
春になって、ミノムシは無事、ちょうちょになったのでした。
ちょうちょになったミノムシは、それから数度、くーちゃんの目の前で弧をかいて飛び、それから遠くへ飛び立ちました。
それはまるで、冬の間自分を見守っていてくれたくーちゃんに、お別れの挨拶をするかのようでした。
「さようなら、ちょうちょになったミノムシさん、元気でね!」
くーちゃんは、窓辺でしばらくちょうちょの飛んだ先を眺めていました。